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日本語でも横書きで済むものは横書き。でも、日本語の俳句は縦書き



前回句会の成果と次回句会のお知らせ

2011年5月5日木曜日

第六回句会成果記録と次回お知らせ


 第六回句会ホチュウ類が開かれたのは三月五日。いまからおもえば、東日本大震災が起きる六日前。あらためて「日常と無常」という途方も無い事象が現実にはある、ということに考えを巡らさないわけにはいきません。また、あまりにも長く無常な光景を報道などで目の当たりにしたせいか、なかなか日常に戻ることができませんが、なんとか句会をとおして日常を取り戻す工夫をしてみたいとおもいます。とはいえ、孫ができる年代に入った参加者がふえてきていますので「孫句」はお互いに<禁じ手(「孫」を詠まれては選句しないわけにもいきませんので・・・)>にしようではないか、ということで衆議一決いたしました。
 さて、今回から新たに森田一敏さんが参加しました。帰国して十数年経ちますが、十六年におよぶフランスの生活が長かったせいか、日本語の使い方に少し特異なところが見受けられますが、この句会に新たな風を巻き起こしていただけるとおもいます。



 以下、兼題の「蓋(ふた)」をふくむ題詠および有季あるいは無季雑詠三十五句と、選句結果をお知らせします。はじめに、高得点句六句をあげます。投句者八名、選句者七名。選句者の持ち点は一人八点( 評価基準は「天(☆)一句=三点」、「地(◎)一句=二点」、「人(〇)三句=各一点」、総得点合計=八点×七名=五十六点。選句集計内訳は下の表を参照ください。



 



   鋸に残る寒さの墓参かな    等   ―七点―

   肩車親の見ぬもの見ていたり    耕人  ―七点―

   北斎の大鋸富士はやかましや    粒人  ―五点―

   地から生え寒風笑う童たち    肝啓  ―五点―

   炬燵よりぞろぞろヒトの設計図     等  ―四点―

   繋船の順にのり越へ春の潮     耕人 ―四点―




                   ◆得点合計が高かった作者は次のとおり。
                    ほかの作者の得点と選句集計内訳は下の
                    【集計表】をクリックすると拡大します。
                  

 






   等・・・・・・・・・・・・十六点

  耕人・・・・・・・・・・・・十二点

  粒人・・・・・・・・・・・・十二点



【集計表】(一度クリックして画像が現われたら、もう一度クリックすると拡大します。)
句会の醍醐味は、「詠んで、読まれる」ところにあるようです。〈どの句を誰が詠んだか?〉もさることながら、〈どの句を誰が読み、誰と誰が共感したか?〉を確かめてみてはいかがでしょう!〈共感の"こだま"がひびき合う〉のも句会の楽しさのひとつではないでしょうか。





    次に当日の投句三十五句を配布された清記表に書かれた順で上の六句を含めて列記します。@涵徳亭


 

一 流氷のような枕と六十年   等

ニ 六世紀超えておとなう史籍の世   ちゃぶ台

三 山笑う川面を埋める花の屑  粒人

四 陽光の香り沁み入る残り雪   康廣

五 身を橈めふるえ泣くかや鋸一挺   ちゃぶ台

六 目立てかとわがバイオリン笑いぐさ   夏風

七 股ぐらに弓女子高生はうららかに   粒人

八 娘から母へ変身目の深さ    康廣
 

 九 寒明けて鋸刃の錆びを指で触れ   肝啓

 十 はた工場のこぎり屋根や今は昔   夏風

十一 春風やあの世から来る表彰状   等

十二 蕪村の句春風ゆらり舐めてゆく   耕人

十三 北斎の大鋸富士はやかましや   粒人

十四 初孫へ命の連鎖桃の花   康廣

十五 鋸に残る寒さの墓参かな  等

十六 鋸の音止んで立つ木の香かな   ちゃぶ台
 

十七 年輪が春秋を告ぐ鋸ひけば   耕人

十八 何事も目のこ算ほどのおおらかさ   夏風

十九 地から生え寒風笑う童たち   肝啓

二十 地を離る前世はきっと春の雁   耕人

二一 曇天の桜哀しや気づかれず   ちゃぶ台

二二 遠い日の手垢懐かし展示鋸   康廣

二三 寒戻り捲り忘れしカレンダー   肝啓

二四 肩車親の見ぬもの見ていたり   耕人
 

二五 木屑付けくろもじないかと鋸の問う   ちゃぶ台

ニ六 炬燵よりぞろぞろヒトの設計図    等

ニ七 繋船の順にのり越へ春の潮  耕人

二八 食い物は火と水と風 溶接工  粒人

二九 鯨見ず西田幾多郎見て帰る  等

三十 啓蟄や夜空に自重の鐘が鳴る   粒人

三一 アキレウス戦いの後やのこぎり草   夏風

三ニ 今を生み未来を生めぬ魔都の広場   ちゃぶ台
 

三三 うす氷ゆび先ふれる春の水   肝啓

三四 大鋸屑おがくずにたき火の火種委ねけり   粒人

三五 朧夜や指の股から魔が覗く   粒人

― 席題@飯田橋某居酒屋は、今回モ(のみすぎて)お休みという雰囲気のなかで次の投句が森田さんからありました(「海のアネモネ」はフランス語や英語では「いそぎんちゃく」のことを指すそうです)。―

   切りがたく海のアネモネのこぎり山   一敏
 
追伸:
次回は5月7日(土)午後5時から、場所は今回とおなじ小石川後楽園涵徳亭(かんとくてい)
◎会費:3,000¥/人(会場使用料+軽い飲食費)、飲み会は別途精算。
投句は五句。題詠一句以上、有季または無季雑詠あわせて五句を投句いただけますでしょうか。    兼題はうつわ。席題は飲み会の成り行きで、飲み会は午後8時半ごろから場所は未定(成り行き次第)
投句締切りは5月5日(木)昼ごろまでに宮坂宛てにメールで送信いただけますでしょうか。

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