ただいま縦書きブログのテスト中

日本語でも横書きで済むものは横書き。でも、日本語の俳句は縦書き



前回句会の成果と次回句会のお知らせ

2011年10月25日火曜日

第九回句会成果と次回お知らせ





句会数日前から台風注意報がテレビに流れ、句会前日は左のような台風経路がYahooの天気予報欄に現れ、ずぶ濡れの句会も覚悟しましたが、富士山のお陰といわれてきたように関東地域に台風は上陸することなく、九回めの句会の運びとなりました。









 ことしは三月十一日以来、日本列島の形を目にする機会が多いせいか、あらためて、日本が自然災害が多いということは自然が豊かな証拠と思うと同時に季節の移り変わりのわずかな変化に気づくことが多くなったようにおもいます。

下の写真は、ことしはたぶんこれが最後ではないかとおもって撮った一つだけ咲いた朝顔(10月24日撮影)。夏に咲き、秋のおわりまで繰り返し咲いて目を楽しませてくれます。




さて、今回も前回の四十六句につづいて四十四句がでそろいました。以下、兼題の「文字(もじ)」をふくむ題詠および有季あるいは無季雑詠四十四句の選句結果をお知らせします。はじめに、高得点句六句をあげます。投句者九名、選句者九名。選句者の持ち点は一人八点( 評価基準は「天(☆)一句=三点」、「地(◎)一句=二点」、「人(〇)三句=各一点」、総得点合計=八点×九名=七十二点。選句集計内訳は下の表を参照ください。

 



   蝉しぐれ樹木樹木に呪文吐き     肝啓   ―九点―

   秋風やあまりに大きい落とし穴   等  ―五点―

   秋うらら真一文字の口ほどく   ちゃぶ台  ―五点―

   老いらくの恋の道行甲骨文字    康廣  ―五点―

   大文字別れ話をぼそと聞く    等  ―四点―

   星月夜赤い風車の回す夢   ちゃぶ台  ―四点―



                   ◆得点合計が高かった作者は次のとおり。
                    ほかの作者の得点と選句集計内訳は下の
                    【集計表】をクリックすると拡大します。
                  



 






  肝啓・・・・・・・・・・・・十五点

   等・・・・・・・・・・・十三点

  ちゃぶ台・・・・・・・・・・十二点

 
【集計表】(一度クリックして画像が現われたら、もう一度クリックすると拡大します。)
句会の醍醐味は、「詠んで、読まれる」ところにあるようです。〈どの句を誰が詠んだか?〉もさることながら、〈どの句を誰が読み、誰と誰が共感したか?〉を確かめてみてはいかがでしょう!〈共感の"こだま"がひびき合う〉のも句会の楽しさのひとつではないでしょうか。
















































    次に当日の投句四十四句を配布された清記表に書かれた順で上の八句を含めて列記します。@涵徳亭


 

一 秋の夜は白い行間文字の色   康廣

ニ 秋風かひと汗かいて夏偲ぶ   夏風

三 秋風やあまりに大きい落とし穴  等

四 秋風の低空飛行文字の上   肝啓

五 秋うらら真一文字の口ほどく   ちゃぶ台

六 歌ごころ流れのままに女文字   一敏

七 絵日記のパンダの脱糞見て笑ふ   句浪人

八 インカレに敗れし4年生の笑み  ちゃぶ台
 

 九 春日部に颱風来たり腹出せり   等

 十 風ひやり耳のうしろを夏は逝き   肝啓

十一 仮名がしらセシウム振りしわが妹子   一敏

十二 文字の上ハエが手を摺り大あくび   肝啓

十三 芸術無し酒も無しただ稲妻を遠望す   粒人 

十四 かきごおり毒々しきに涼新た   一敏

十五 蝉しぐれ樹木樹木に呪文吐き  肝啓

十六 静けさや黒文字キラリ水羊羹   一敏




 
十七 私か詩か死か「し」といふ文字を古酒で引く 句浪人

十八 ギラぎらと風鈴の音に秋遠し   一敏

十九 蝉時雨只管打坐ただすわることむつかしや   粒人

二十 老いらくの恋の道行甲骨文字   康廣

二一 祝開通夏の邸宅風の道   句浪人

二二 掃き出せば餌を離さぬ螳螂も   耕人

二三 牝鹿の吐息白樺林に霧深し   句浪人

二四 「娑婆ふさぎ」文字面もじづらにくし柘榴買う   ちゃぶ台
 

二五 唄うより語れというは歌の文字   康廣

ニ六 残り暑の文からはっとせちを見る   夏風

ニ七 真の文字ソレデイイノダシカタナイノダ  康廣

二八 夏夜満ち和紙一枚に文字が湧き  肝啓

二九 なにごとの音づれなるや古代文字  粒人

三十 大文字別れ話をぼそと聞く   等

三一 月見ては思ひ込めんや十七文字   夏風

三ニ 自由形いき吸う毎に天高し   耕人
 

三三 もう一枚着るかやめるか野分かな   夏風

三四 茄子牛が群れる彼岸や曼珠沙華   ちゃぶ台

三五 靖国や無窮の熱気を呼吸する   粒人

三六 終戦日朝までワーグナーが侵攻す   句浪人

三七 六根清浄蠅取り紙は天井に   等

三八 腹すいて蟻の二列目手に移す   耕人

三九 星月夜赤い風車の回す夢  ちゃぶ台

四十 別れ話男の裸撮る女  耕人
 

四一 文字伝う肌より先に秋の先がけ  夏風

四二 母が死ぬつるうめもどきの気配かな   等

四三 文字盤の刺す一刻をくり帰し   耕人

四四 われに似て心身脱落する干物   粒人



               ―席題@飯田橋 某居酒屋は、今回モ(のみすぎて)お休み―
 
追伸:
次回は11月5日(土)午後5時から、場所は今回とおなじ小石川後楽園涵徳亭(かんとくてい)
◎会費:3,000¥/人(会場使用料+軽い飲食費)、飲み会は別途精算。
投句は五句。題詠一句以上、有季または無季雑詠あわせて五句を投句いただけますでしょうか。     兼題は熱気球ねつききゅう。席題は飲み会の成り行きで、飲み会は午後8時半ごろから場所は未定(成り行き次第)
投句締切りは11月3日(木)昼ごろまでに宮坂宛てにメールで送信いただけますでしょうか。
 前回につづいて、次回の兼題が過去のものと重ならないように記録していくことにします。


 

第二回  サングラス    出題 等 

第三回  さんま    出題 等

第四回  蓋   出題 等

第五回  音   出題 等

第六回  鋸   出題 等

第七回  器   出題 等

第八回  橋   出題 等

第九回  文字   出題 肝啓

第十回  熱気球   出題 肝啓

2011年8月8日月曜日

第八回句会成果と次回お知らせ


 「鬼灯」と書いて「ほおずき」と読むことを耕人さんの投句から(下の十八番)知りました。
七月九日と十日は「四万六千日(しまんろくせんにち)」とよばれ、この日に浅草の浅草寺を参拝すると46,000日分のご利益があるとのことで、知りたい見たいの一心でひとり出かけて撮ったのがこの写真。「鬼灯」という字は、ほおずきを先祖の霊を迎える提灯に見立てたところが由来と聞けば、その形、色ともに梅雨明け近い東京の夏をいろどる風物のひとつであることを納得すると同時に、東日本大震災で亡くなった多くの人やその家族の方々の想いが帰りの地下鉄のなかで頭をよぎりました。


                       

 さて、今回から新たに、「句浪人」こと竹居陽一さんが加わり句会開始以来最多の四十六句がでそろいました。以下、兼題の「橋(はし)」をふくむ題詠および有季あるいは無季雑詠四十六句と、選句結果をお知らせします。はじめに、高得点句八句をあげます。投句者九名、選句者九名。選句者の持ち点は一人八点( 評価基準は「天(☆)一句=三点」、「地(◎)一句=二点」、「人(〇)三句=各一点」、総得点合計=八点×九名=七十二点。選句集計内訳は下の表を参照ください。

 

   橋失せど擬宝珠の円み手の覚え     肝啓   ―十一点―

   避暑に来てトリケラトプス組み立てり   句浪人  ―五点―

   絶縁の文字を燃やして冷やしアメ    粒人  ―五点―

   玄関に彼岸への橋が架かっている    耕人  ―五点―

   海ゆかば入れ歯はあまた泥を噛み    等  ―四点―

   右左上下涼しおお吊り橋        句浪人  ―四点―

   無常なり地獄の里に桜咲く      康廣 ―四点―

   らばとて贈るあてなしラベンダー   粒人 ―四点―



                   ◆得点合計が高かった作者は次のとおり。
                    ほかの作者の得点と選句集計内訳は下の
                    【集計表】をクリックすると拡大します。
                  


 







  肝啓・・・・・・・・・・・・十六点

  句浪人・・・・・・・・・・・十二点

  粒人・・・・・・・・・・・・十二点

 


【集計表】(一度クリックして画像が現われたら、もう一度クリックすると拡大します。)
句会の醍醐味は、「詠んで、読まれる」ところにあるようです。〈どの句を誰が詠んだか?〉もさることながら、〈どの句を誰が読み、誰と誰が共感したか?〉を確かめてみてはいかがでしょう!〈共感の"こだま"がひびき合う〉のも句会の楽しさのひとつではないでしょうか。






    次に当日の投句四十六句を配布された清記表に書かれた順で上の八句を含めて列記します。@涵徳亭


 

一 相槌に心通わす橋の上   康廣

ニ 一休さんはしを渡って牛若丸   一敏

三 宇治金に白玉四つ半夏生  ちゃぶ台

四 海ゆかば入れ歯はあまた泥を噛み   等

五 失せた橋たもとにしゃがみ麦茶かな   肝啓

六 江戸図絵に夏の賑わい日本橋   ちゃぶ台

七 大津波この世に地獄黒い波   康廣

八 オフィーリア浮かぶみずも水面アリス的    一敏
 

 九 大きな土葬小さな火葬牡丹咲く   等

 十 面影は橋の名にあらず昏倒寸前   粒人

十一 ガリレオは終身刑と夏至の天   耕人

十二 海底に座布団五枚のおとこ棲む   等

十三 キレイネエ自然な声に振り向くと   康廣 

十四 川風をもとめて橋に夕涼み   夏風

十五 此の向こう渡るべからず橋一本  耕人

十六 七月のビールを泳ぐ二枚舌   肝啓
 

十七 絶縁の文字を燃やして冷やしアメ   粒人

十八 四万六千日の鬼灯生やす原発の土   耕人

十九 笹ゆらし通りゆく風音も涼し   夏風

二十 右左上下涼しおお吊り橋   句浪人

二一 節電で団扇の波立つ大教室   ちゃぶ台

二二 玄関に彼岸への橋が架かっている   耕人

二三 還暦や次の水着は赤でどおじゃ   句浪人

二四 桐箱の線香花火や姫気分   ちゃぶ台
 

二五 涼やかな少女の目にも茜雲   康廣

ニ六 梅雨の間の陽に問うや干し梅の味   夏風

ニ七 涙には人の情けがあふれてる  康廣

二八 橋失せど擬宝珠の円み手の覚え  肝啓

二九 果てしなく手紙を綴る蛍も飛ぶ  粒人

三十 梅雨寒や電柱呑んだ魚の顎   等

三一 馬場の宵今なきレダに献ぐ酒   夏風

三ニ 橋桁に水死の匂い百合の匂い   等
 

三三 ホタルのホ夜風に乗れば無事着水   肝啓

三四 橋懸り六条の念わたり来る   ちゃぶ台

三五 日傘閉じよ ことばを隠しとおす人   粒人

三六 橋懸ゆれるそよかぜ水中花   一敏

三七 蛍火や天文学者の人差し指   句浪人

三八 南風吹いて方舟を目撃する三陸沖   耕人

三九 無常なり地獄の里に桜咲く  康廣

四十 モネの庭うかぶ睡蓮太鼓橋  一敏
 

四一 夕やみに花火見上げて橋わたる  夏風

四二 避暑に来てトリケラトプス組み立てり   句浪人

四三 古池や翡翠勾玉そこかしこ   一敏

四四 六月やビールがくすぐる喉仏   肝啓 

四五 龍馬的生き方ありて夏燕   句浪人

四六 らばとて贈るあてなしラベンダー   粒人


               ―席題@飯田橋 某居酒屋は、今回モ(のみすぎて)お休み―
 
追伸:
次回は9月3日(土)午後5時から、場所は今回とおなじ小石川後楽園涵徳亭(かんとくてい)
◎会費:3,000¥/人(会場使用料+軽い飲食費)、飲み会は別途精算。
投句は五句。題詠一句以上、有季または無季雑詠あわせて五句を投句いただけますでしょうか。     兼題は文字もじ。席題は飲み会の成り行きで、飲み会は午後8時半ごろから場所は未定(成り行き次第)
投句締切りは9月1日(木)昼ごろまでに宮坂宛てにメールで送信いただけますでしょうか。
 ところで、句会の回を重ねてくると、過去の兼題も忘れがち。後々の兼題が過去のものと重ならないようにここらで振り返っておきましょう。


 

第二回  サングラス    出題 等 

第三回  さんま    出題 等

第四回  蓋   出題 等

第五回  音   出題 等

第六回  鋸   出題 等

第七回  器   出題 等

第八回  橋   出題 等

第九回  文字   出題 肝啓

2011年6月12日日曜日

第七回句会成果と次回お知らせ


 五月初旬といえば、例年ならばゴールデンウィーク。一年中でいちばん過ごしやすい季節のはずが、東日本震災にくわえて原子力発電所災害や進展をみせない国の被災地支援など、気分が晴れない報道がつづき、「なんとか句会をとおして日常を取り戻す工夫をしてみたい」と句会に出かけても、このブログ巻頭の写真を撮るカメラを忘れてしまう体たらく。
 さて、どうしたものかと句会会場で一人腕組みをしていたところに、ぬっと現れたのが、大畑さんの短冊。どうやら、大畑さんも気分はおなじようで、「あらためて俳句を文字で確かめたくなったので書いてみました。」というのが次の写真です。



句番号36番 (下の段に掲載)
―当日の秀句(最高点)―





句番号12番
 
句番号25番



句番号23番
(どこで投句してもとられない句とか・・・
『燕の肉屋』とは
<燕が軒下に巣をつくった肉屋のこと>、だそうです。)









 以下、兼題の「器(うつわ)」をふくむ題詠および有季あるいは無季雑詠三十六句と、選句結果をお知らせします。はじめに、高得点句五句をあげます。投句者七名、選句者七名。選句者の持ち点は一人八点( 評価基準は「天(☆)一句=三点」、「地(◎)一句=二点」、「人(〇)三句=各一点」、総得点合計=八点×七名=五十六点。選句集計内訳は下の表を参照ください。



 



   我が行方不明や深く芋を植え    等   ―九点―

   捨てられし器がこぼす五月雨    耕人  ―四点―

   毎週泣く恋人がいて木の芽どき    粒人  ―四点―

   むかし鉄の町鉄のにおいの消え果てて    耕人  ―四点―

   サンテンイチイチ賢治ハ下ノ畑ニ居     等  ―四点―




                   ◆得点合計が高かった作者は次のとおり。
                    ほかの作者の得点と選句集計内訳は下の
                    【集計表】をクリックすると拡大します。
                  

 






   等・・・・・・・・・・・・十七点

  耕人・・・・・・・・・・・・十三点

  粒人・・・・・・・・・・・・十二点



【集計表】(一度クリックして画像が現われたら、もう一度クリックすると拡大します。)
句会の醍醐味は、「詠んで、読まれる」ところにあるようです。〈どの句を誰が詠んだか?〉もさることながら、〈どの句を誰が読み、誰と誰が共感したか?〉を確かめてみてはいかがでしょう!〈共感の"こだま"がひびき合う〉のも句会の楽しさのひとつではないでしょうか。






    次に当日の投句三十六句を配布された清記表に書かれた順で上の五句を含めて列記します。@涵徳亭


 

一 あかき身を黒織部にや初かつを   夏風

ニ アッなまずよする白波鏡池   一敏

三 器にて形を変える水いと  ちゃぶ台

四 梅干しやたけのこのかわ色つけて   夏風

五 屋上の蜜蜂皇居に花盗人   耕人

六 女の子ここのつの穴そこかしこ   一敏

七 噛み殺す笑いころがす村井和一   肝啓

八 鍵善に葛きり萌ゆる江戸切子    一敏
 

 九 梅実る梢の先に?シーベルト   肝啓

 十 ご詠歌も苔も褐色なる列島   粒人

十一 この歳で暮れて成れるか大器おおうつわ   夏風

十二 サンテンイチイチ賢治ハ下ノ畑ニ居   等

十三 寂しけり黄金週間自粛かぜ   夏風

十四 上海は夏なり硝子花器ひとつ   ちゃぶ台

十五 春眠のち時々朝寝あくび尽き  肝啓

十六 自閉して黄金虫おうごんちゅうを旅に出す   耕人
 

十七 垂直にうどんをすする那智の旅   粒人

十八 捨てられし器がこぼす五月雨さつきあめ   耕人

十九 たましいの器のへりが錆びている   粒人

二十 地鳴りせど土蠢いて蟻一匹   肝啓

二一 戸田の風光りて新人漕ぎ出す   ちゃぶ台

二二 津波来る縄文土器の一破片かけら   等

二三 何をしに来しか津波は燕の肉屋   

二四 春の海荒ぶり立ちて連れ去りし夢   ちゃぶ台
 

二五 菜の花の黄のささやきへ汝と我   等

ニ六 初恋や心ときめき鯉のぼり    夏風

ニ七 漂着の器にすくい夏の海  耕人

二八 学舎まなびや一月ひとつき遅れの春来たる  ちゃぶ台

二九 毎週泣く恋人がいて木の芽どき  粒人

三十 水もれる器のひびにカモメ散り   肝啓

三一 密教の聖地で拾う蛇の皮   粒人

三ニ むかし鉄の町鉄のにおいの消え果てて   耕人
 

三三 紫野西湖のなごみ真珠庵   一敏

三四 揺する焼く呑み込む力を遠望す   粒人

三五 閖上ゆりあげの赤貝冴える古染付   一敏

三六 我が行方不明や深く芋を植え   等

               ―席題@飯田橋 某居酒屋は、今回モ(のみすぎて)お休み―
 
追伸:
次回は7月2日(土)午後5時から、場所は今回とおなじ小石川後楽園涵徳亭(かんとくてい)
◎会費:3,000¥/人(会場使用料+軽い飲食費)、飲み会は別途精算。
投句は五句。題詠一句以上、有季または無季雑詠あわせて五句を投句いただけますでしょうか。     兼題ははし。席題は飲み会の成り行きで、飲み会は午後8時半ごろから場所は未定(成り行き次第)
投句締切りは6月30日(木)昼ごろまでに宮坂宛てにメールで送信いただけますでしょうか。

2011年5月5日木曜日

第六回句会成果記録と次回お知らせ


 第六回句会ホチュウ類が開かれたのは三月五日。いまからおもえば、東日本大震災が起きる六日前。あらためて「日常と無常」という途方も無い事象が現実にはある、ということに考えを巡らさないわけにはいきません。また、あまりにも長く無常な光景を報道などで目の当たりにしたせいか、なかなか日常に戻ることができませんが、なんとか句会をとおして日常を取り戻す工夫をしてみたいとおもいます。とはいえ、孫ができる年代に入った参加者がふえてきていますので「孫句」はお互いに<禁じ手(「孫」を詠まれては選句しないわけにもいきませんので・・・)>にしようではないか、ということで衆議一決いたしました。
 さて、今回から新たに森田一敏さんが参加しました。帰国して十数年経ちますが、十六年におよぶフランスの生活が長かったせいか、日本語の使い方に少し特異なところが見受けられますが、この句会に新たな風を巻き起こしていただけるとおもいます。



 以下、兼題の「蓋(ふた)」をふくむ題詠および有季あるいは無季雑詠三十五句と、選句結果をお知らせします。はじめに、高得点句六句をあげます。投句者八名、選句者七名。選句者の持ち点は一人八点( 評価基準は「天(☆)一句=三点」、「地(◎)一句=二点」、「人(〇)三句=各一点」、総得点合計=八点×七名=五十六点。選句集計内訳は下の表を参照ください。



 



   鋸に残る寒さの墓参かな    等   ―七点―

   肩車親の見ぬもの見ていたり    耕人  ―七点―

   北斎の大鋸富士はやかましや    粒人  ―五点―

   地から生え寒風笑う童たち    肝啓  ―五点―

   炬燵よりぞろぞろヒトの設計図     等  ―四点―

   繋船の順にのり越へ春の潮     耕人 ―四点―




                   ◆得点合計が高かった作者は次のとおり。
                    ほかの作者の得点と選句集計内訳は下の
                    【集計表】をクリックすると拡大します。
                  

 






   等・・・・・・・・・・・・十六点

  耕人・・・・・・・・・・・・十二点

  粒人・・・・・・・・・・・・十二点



【集計表】(一度クリックして画像が現われたら、もう一度クリックすると拡大します。)
句会の醍醐味は、「詠んで、読まれる」ところにあるようです。〈どの句を誰が詠んだか?〉もさることながら、〈どの句を誰が読み、誰と誰が共感したか?〉を確かめてみてはいかがでしょう!〈共感の"こだま"がひびき合う〉のも句会の楽しさのひとつではないでしょうか。





    次に当日の投句三十五句を配布された清記表に書かれた順で上の六句を含めて列記します。@涵徳亭


 

一 流氷のような枕と六十年   等

ニ 六世紀超えておとなう史籍の世   ちゃぶ台

三 山笑う川面を埋める花の屑  粒人

四 陽光の香り沁み入る残り雪   康廣

五 身を橈めふるえ泣くかや鋸一挺   ちゃぶ台

六 目立てかとわがバイオリン笑いぐさ   夏風

七 股ぐらに弓女子高生はうららかに   粒人

八 娘から母へ変身目の深さ    康廣
 

 九 寒明けて鋸刃の錆びを指で触れ   肝啓

 十 はた工場のこぎり屋根や今は昔   夏風

十一 春風やあの世から来る表彰状   等

十二 蕪村の句春風ゆらり舐めてゆく   耕人

十三 北斎の大鋸富士はやかましや   粒人

十四 初孫へ命の連鎖桃の花   康廣

十五 鋸に残る寒さの墓参かな  等

十六 鋸の音止んで立つ木の香かな   ちゃぶ台
 

十七 年輪が春秋を告ぐ鋸ひけば   耕人

十八 何事も目のこ算ほどのおおらかさ   夏風

十九 地から生え寒風笑う童たち   肝啓

二十 地を離る前世はきっと春の雁   耕人

二一 曇天の桜哀しや気づかれず   ちゃぶ台

二二 遠い日の手垢懐かし展示鋸   康廣

二三 寒戻り捲り忘れしカレンダー   肝啓

二四 肩車親の見ぬもの見ていたり   耕人
 

二五 木屑付けくろもじないかと鋸の問う   ちゃぶ台

ニ六 炬燵よりぞろぞろヒトの設計図    等

ニ七 繋船の順にのり越へ春の潮  耕人

二八 食い物は火と水と風 溶接工  粒人

二九 鯨見ず西田幾多郎見て帰る  等

三十 啓蟄や夜空に自重の鐘が鳴る   粒人

三一 アキレウス戦いの後やのこぎり草   夏風

三ニ 今を生み未来を生めぬ魔都の広場   ちゃぶ台
 

三三 うす氷ゆび先ふれる春の水   肝啓

三四 大鋸屑おがくずにたき火の火種委ねけり   粒人

三五 朧夜や指の股から魔が覗く   粒人

― 席題@飯田橋某居酒屋は、今回モ(のみすぎて)お休みという雰囲気のなかで次の投句が森田さんからありました(「海のアネモネ」はフランス語や英語では「いそぎんちゃく」のことを指すそうです)。―

   切りがたく海のアネモネのこぎり山   一敏
 
追伸:
次回は5月7日(土)午後5時から、場所は今回とおなじ小石川後楽園涵徳亭(かんとくてい)
◎会費:3,000¥/人(会場使用料+軽い飲食費)、飲み会は別途精算。
投句は五句。題詠一句以上、有季または無季雑詠あわせて五句を投句いただけますでしょうか。    兼題はうつわ。席題は飲み会の成り行きで、飲み会は午後8時半ごろから場所は未定(成り行き次第)
投句締切りは5月5日(木)昼ごろまでに宮坂宛てにメールで送信いただけますでしょうか。

2011年3月2日水曜日

第五回句会成果記録と次回お知らせ


 昨年十月の『72年ぶりの寒さ』が予兆であったことが分かるようになった1月15日(土)、第五回めの句会が開かれました。句会参加者(敬称略)は大畑 等、下田濟二郎、土屋秀夫、中山銀士(なかやま ぎんお)、宮坂公啓、山中康廣の六名でしたが、当日都合のつかなかった細井尚子さんの投句も加わって合計三十五句の投句となり、選句と講評ともに充実した句会になりました。飲み会は新年ということもあって、いつもの場所を変え、飯田橋に明るい中山さんお勧めの店。キムチのうまい居酒屋でした。



 以下、兼題の「音」をふくむ題詠および有季あるいは無季雑詠三十五句と、選句結果をお知らせします。はじめに、高得点句五句をあげます。投句者、選句者各七名。選句者の持ち点は一人八点( 評価基準は「天(☆)一句=三点」、「地(◎)一句=二点」、「人(〇)三句=各一点」、総得点合計=八点×七名=五十六点。選句集計内訳は下の表を参照ください。



 




   時きざむ音に耳立つ鬼瓦    肝啓   ―六点―

   少年の音楽盗み白ふくろう     等  ―五点―

   言の葉のたまは音にぞ宿るらん   ちゃぶ台  ―四点―

   吊革の等しく揺るる冬のバス   耕人  ―四点―

   点滴のしずくの音や冬の海    耕人  ―四点―



                   ◆得点合計が高かった作者は次のとおり。
                    ほかの作者の得点と選句集計内訳は下の
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  肝啓・・・・・・・・・・・・十三点

   等 ・・・・・・・・・・・・十点

  ちゃぶ台 ・・・・・・・・・・九点

  耕人・・・・・・・・・・・・・九点

【集計表】(一度クリックして画像が現われたら、もう一度クリックすると拡大します。)
句会の醍醐味は、「詠んで、読まれる」ところにあるようです。〈どの句を誰が詠んだか?〉もさることながら、〈どの句を誰が読み、誰と誰が共感したか?〉を確かめてみてはいかがでしょう!〈共感の"こだま"がひびき合う〉のも句会の楽しさのひとつではないでしょうか。





    次に当日の投句三十五句を配布された清記表に書かれた順で上の六句を含めて列記します。@涵徳亭


 

一 あさ逍遙背筋が伸びるモズの声   夏風

ニ 荒星や爺さまよりは婆さま好き   等

三 沿線の自殺のせいで遅刻する  耕人

四 おたま逝く友猫知らず誘い啼き   康廣

五 音せぬをくちに言う雪の夜   夏風

六 音も無く烏舞い降り三羽四羽   肝啓

七 お茶室に静けさ誘う釜の音   康廣

八 駆け抜けて土塊とばす冬の馬場    耕人
 

 九 言の葉のたまは音にぞ宿るらん   ちゃぶ台

 十 さくさくと朝の散歩や霜はしら   夏風

十一 獅子舞うやしぐれる庭に春近し   ちゃぶ台

十二 少年の音楽盗み白ふくろう   等

十三 白酒の喉とおる音軍手ぬぐ   粒人

十四 舌一枚焚火のなかに燻りぬ   等

十五 スカートの目玉模様や初しぐれ  粒人

十六 碧天を突く寒風や名残の音   ちゃぶ台
 

十七 たっぷ~んと鳴る屁の音あり水木しげる   肝啓

十八 第九聞く炬燵うれしく日本人   耕人

十九 吊革の等しく揺るる冬のバス   耕人

二十 時きざむ音に耳立つ鬼瓦   肝啓

二一 年占としうらの良きも悪しきも祝酒   ちゃぶ台

二二 とん汁や湯気の向こうに胴間声   粒人

二三 点滴のしずくの音や冬の海   耕人

二四 遠くにて手を振る君に忘れ物   康廣
 

二五 裸木はだかぎや肥満のイヌに目配せす   粒人

ニ六 初春や弱りし母の声は音となる   ちゃぶ台

ニ七 万歳をする父知らぬ枇杷の花  等

二八 冬河原けむり纏いし人を待つ  等

二九 白髪の混じりし子にもお年玉  ちゃぶ台

三十 吹き寄せに枝ゆすり木枯らしを聴く   夏風

三一 軒つららぽとりぽとりと陽を浴びて   夏風

三ニ 水凍る音そら耳かと猫に聞き    肝啓
 

三三 耳を切る風音ならし漕ぐ銀輪   肝啓

三四 瞑想する冬の電柱とか川鵜とか   粒人

三五 笑う妻お節煮る音光る豆   康廣

               ―席題@飯田橋 某居酒屋は、今回モ(のみすぎて)お休み―
 

追伸:
次回は3月5日(土)午後5時から、場所は今回とおなじ小石川後楽園涵徳亭(かんとくてい)
◎会費:3,000¥/人(会場使用料+軽い飲食費)、飲み会は別途精算。
投句は五句。題詠一句以上、有季または無季雑詠あわせて五句を投句いただけますでしょうか。    兼題はのこぎり(のこ)。席題は飲み会の成り行きで、飲み会は午後8時半ごろから場所は未定(成り行き次第)
投句締切りは3月3日(木)昼ごろまでに宮坂宛てにメールで送信いただけますでしょうか。

2011年2月7日月曜日

袋まわし(第一回@飯田橋・まんなかや)


『袋まわし』をやってみませんか?という土屋秀夫(耕人)さんの発案から、きぜわしい師走の始まるすこし前の12月3日、第一回句会ホチュウ類袋まわしを開きました。「袋まわし」をごぞんじない方に簡単にご紹介すると、「袋まわし」は句会参加者が互いに出しあった席題に、それぞれが俳句を作り、席題を書いた袋(封筒)に俳句を書いた紙を入れ、順繰りにまわしていく句会です。手順は次のようになります。
①袋まわしに参加する人数分の封筒(B5サイズぐらい)を用意します。俳句を書く紙切れまたは一筆箋は人数×人数枚程度(6人なら36枚以上)。
②参加者に配られた封筒に、参加者がそれぞれ席題を書きます。
③席題を書いた封筒に、俳句を詠んだ紙を入れ、順繰りに封筒をまわしていきます。
④俳句ができない人のところに封筒が溜まることも起きますので、推敲は手際よく、思い切りよく俳句を作ることになります。
⑤俳句が出そろったところで、封筒に入れられた俳句を封筒に書いて、順繰りに選句していきます。
⑥選句の結果を互いに確かめ、わいわいがやがや合評。作者を名乗るのは合評の後にするほうが選んだ俳句を率直に評価でき、活発で楽しい句会になります。
<参加者人数分の席題に俳句をつくる>ということで初めは躊躇しましたが、やってみると成果はまずまずの出来栄えではなかったでしょうか。
 以下、当日の袋まわし三十六句と、選句結果をお知らせします。はじめに、高得点句八句をあげます。出題者、投句者、選句者はそれぞれ六名。選句者の持ち点は一つの席題に対して一人五点( 評価基準は「天(☆)一句=三点、地(◎)一句=二点)としましたので、各席題の最高得点句は十五点(三点×五人)となります。全三十六句は下段にまとめました。「どの句を誰が選句?」についてはこの↓写真をクリックすると拡大します。







 
  冬の日を吸いつくし山眠る    耕人 (十五点)

  伝説の蠅の王とすれ違う    粒人 (十一点)

  つなぐ手のちからふとゆるむ夕暮れに   夏風 (十一点)

  冬至なり天井裏に木刀置く   等 (十点)

  花道に本物の雪歌舞伎役者   耕人 (九点)

  ハエとまる時を待ち受け大あくび    肝啓 (九点)

  夕暮れの美空ひばりは父の声   等 (九点)

  風止んで一まわりする風車   耕人 (九点)



次に当日の投句三十六句を後日、清記表にまとめた順で上の六句を含めて列記します。@まんなかや





席題 木刀         出題 肝啓 

 一 寒げいこ木刀もつ手もややちぢむ  夏風

 ニ 空切るか宇宙切ってみる木刀  肝啓 (六点)

 三 面とって木刀真剣勝負です   耕人

 四 冬至なり天井裏に木刀置く  等 (十点)

 五 君がふる木刀ひかる冬の空  康廣  (七点)

 六 木刀の落ちる重さや冬木立  粒人 (七点)



席題 山眠る          出題 夏風

 七 山眠る山霧はれて素ぱだか  康廣 (六点)

 八 冬の日を吸いつくし山眠る   耕人 (十五点)
 
 九 独身というだけの人山眠る  粒人 (二点)

 十 むらさきの京人形や山眠る    等

十一 散る紅葉空舞い踊り山眠る   肝啓 (五点)

十二 葉の落ちて雪化粧して山眠る  夏風 (二点)


席題 歌舞伎役者            出題 等

十三 板の上立ち損ねて歌舞伎役者  肝啓 (七点)

十四 木板や歌舞伎役者の心と肺  等 (二点)

十五 とんでいる歌舞伎役者がころんでる  康廣 (三点)

十六 雁列がんれつや歌舞伎役者は裸足すあしなり   粒人 (七点)  
十七 名をあげる歌舞伎役者の暮の街  夏風 (二点)

十八 花道に本物の雪歌舞伎役者   耕人 (九点)
 


席題              出題 耕人

十九 寒のハエ叩いて辺りの王となる  耕人 (七点)  
二十 お棺には蠅捕紙を入れて呉れ   等 (三点)

二一 あはれ蚊と肩のならばぬ冬の蠅   夏風

二二 飛んできて君に手をする足をする    康廣

二三 伝説の蠅の王とすれ違う   粒人 (十一点)

二四 ハエとまる時を待ち受け大あくび   肝啓 (九点)

席題 夕暮れ             出題 粒人

二五 夕暮れの美空ひばりは父の声   等 (九点)

ニ六 家出して夕暮れまでは駅にいて   耕人(八点)

ニ七 待ちぼうけなきにしもあらず夕暮れ  肝啓

二八 つなぐ手のちからふとゆるむ夕暮れに  夏風 (十一点)

二九 夕暮れに出かけるべきかいるべきか   康廣

三十 夕暮れという酒場あり師走なり   粒人 (二点)

席題                  出題 康廣

三一 風とまり天道まるく浮かびけり   肝啓  (三点)

三ニ 風の道歩道の他者は影ばかり    粒人 (三点) 

三三 略歴に黒い風が去らずにいる   等  (七点)

三四 空高く風に吹かれて見ゆる街   夏風  (六点)

三五 風止んで一まわりする風車   耕人  (九点)

三六 ハヤブサ散る宇宙の風の音を観る   康廣  (二点)  

追伸:
次回は3月5日(土)午後5時から、場所は前回とおなじ小石川後楽園涵徳亭(かんとくてい)
◎会費:3,000¥/人(会場使用料+軽い飲食費)、飲み会は別途精算。
投句は五句。題詠一句以上、有季または無季雑詠あわせて五句を投句いただけますでしょうか。    兼題は「鋸(<のこぎり>、略して<のこ>ともいう)。席題は飲み会の成り行きで、飲み会は午後8時半ごろから場所は未定(成り行き次第)
投句締切りは3月3日(木)昼ごろまでに宮坂宛てにメールで送信いただけますでしょうか。

2010年11月14日日曜日

第四回句会成果記録と次回お知らせ


『十月としては72年ぶりの寒さ』も遠のいた小春日和の土曜日(十一月六日)、第四回めの句会が開かれました。句会参加者(敬称略)は大畑 等、下田濟二郎、土屋秀夫、宮坂公啓、山中康廣の五名でしたが、当日、出張と重なった中山銀士(なかやま ぎんお)さんと細井尚子さんの投句も加わって投句合計三十六句となり、選句と講評ともに充実した句会になりました。投句者が選句者でもあるということからすれば、選外の句の比率は変わらないのですが、投句の数が多くなると選外の句に、<なぜ、この句が選外に?>という句も現われます。今回からは<高得点句=秀句とはかぎらない・・>との観点から、新たに、得点のなかった作者の評点に【孤高】を設けました。


 以下、兼題の「蓋」をふくむ題詠および有季あるいは無季雑詠三十六句と、選句結果をお知らせします。はじめに、高得点句六句をあげます。投句者が七名に対し、選句者は七名。選句者の持ち点は一人八点( 評価基準は「天(☆)一句=三点、地(◎)一句=二点、人(〇)三句=各一点)、総得点合計=八点×七名=五十六点。選句集計内訳は下の表を参照ください。


 



  蟷螂の腹しゃかむにのやわらかさ    等   ―七点―

  かさ蓋を剥がせば肉ぞ青蜜柑     等  ―五点―

  蓋並べ夜長を量る屋台かな   ちゃぶ台  ―五点―

  バーボンと夜中のジャズに猫が来る   康廣   ―五点―

  のようなものふとあらわれてふっときへ   肝啓   ―五点―

  六十ですべて断る菊一輪   耕人  ―五点――



                   ◆得点合計が高かった作者は次のとおり。
                    ほかの作者の得点と選句集計内訳は下の
                    【集計表】をクリックすると拡大します。
                  

 






  等・・・・・・・・・・・・十八点

  耕人 ・・・・・・・・・・・・十一点

  ちゃぶ台 ・・・・・・・・・・・十点

【集計表】(一度クリックして画像が現われたら、もう一度クリックすると拡大します。)
〈どの句を誰が詠んだか?〉もさることながら、〈どの句に誰と誰が共感したか?〉を確かめてみてはいかがでしょう!〈共感の"こだま"がひびき合う〉のも句会の楽しさのひとつのようです。



    次に当日の投句三十六句を配布された清記表に書かれた順で上の六句を含めて列記します。@涵徳亭


 

一 あくびして背伸びして見る彼岸かな   肝啓

ニ あたたかき朝陽にそっと手をあわせ   夏風

三 行く年の急くを止めんと湯に埋まる  ちゃぶ台

四 蟷螂の腹しゃかむにのやわらかさ   等

五 あつあつと蓋にて喰らう味噌煮込み   夏風

六 鯖雲やさみしい名前古本屋   粒人

七 雨の打つレールに灯るネオンかな   肝啓

八 かさ蓋を剥がせば肉ぞ青蜜柑     等
 

 九 お万燈すすきみみづく鬼子母神   夏風

 十 コオロギと笹の擂り音ハイヒール   康廣

十一 結界に柘榴の味の懐かしく   等

十二 冬坂を登ればひゅるり風マント   耕人

十三 天高しオレは荷物とともにいる   粒人

十四 涙の目悼む心の蓋を開け    康廣

十五 自然薯を擂りボーボワールよりマリリン  等

十六 ダルマの目片方入れて冬座敷   耕人
 

十七 始発には昨日と今日が隣り合い   ちゃぶ台

十八 野沢菜の押し蓋せめる信濃石   耕人

十九 蓋並べ夜長を量る屋台かな    ちゃぶ台

二十 蓋とりて湯気にえかほの冬の鍋   夏風

二一 鍋の蓋コトコト鳴らす白熱灯   肝啓

二二 襟たてて足早にゆくお酉さま   夏風

二三 花くらべコスモス畑に時わすれ   肝啓

二四 二刻弱飛べば北京は冬霞   ちゃぶ台
 

二五 バーボンと夜中のジャズに猫が来る   康廣

ニ六 月見れば女の耳の伸び始む   粒人

ニ七 のようなものふとあらわれてふっときへ  肝啓

二八 蓋閉じて浦島太郎卵酒   ちゃぶ台

二九 歯にしみる冬の口笛よそのそら   耕人

三十 蓋を閉じ待つ顔見れば昔顔   康廣

三一 蓋取ればデジャブの湯気や出前そば   耕人

三ニ 欲望の綴じ蓋開けて禿山へ    康廣
 

三三 山路来て仁義忠孝礼智信   粒人

三四 六十ですべて断る菊一輪   耕人

三五 虫時雨くずれぬように人を焼く   等

三六 蓋とれば鰻は静かに並びおり   粒人

次に、中山銀士さんが多忙な出張先から送ってくださった選句と講評をご紹介させていただきます。すべての投句をたいへん丁寧に読んでおられ、<俳句講評のお手本>ではないでしょうか。
句会ホチュウ類のみなさんの講評を宮坂まで送信いただければ、このブログに掲載いたします。

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熊本名物桜肉と焼酎でイキオイをつけ、なんとか選句を終えました。
1、4、8、11、18、27、28、34、35と書き写したところで迷い始め、優柔不断の悪癖に邪魔をされたのでしたが、この三日間ほどの、山里での神社巡りや神楽博物館見物での印象にかこつけてなんとか選びきりました。

天…34「六十ですべて断わる菊一輪」

地…35「虫時雨くずれぬように人を焼く」

人…11「結界に柘榴」
   4「蟷螂の腹」
   1「あくびして」

最後まで迷ったのが27「のようなもの」でした。落語好きなもんで…。

●「六十で」には、キッパリとした余韻の味わいと同時に、古代中国渡来の陰陽道的人生観に、いまだに捉えられているわれわれの滑稽さを指し示すような、裏効果がありそうです。「六十」で始めて「一」でシメるテクニックにも敬服。


●「虫時雨」、これまた魅力あふれる句です。ガンジス川岸で遺体を野焼きする光景を、昨年、見物して来たばかりでして(笑)。一定したリズムをくずさぬ虫の群れと、メラメラ燃えるムクロとの対比は絶妙なり!。孤独な穏坊(放送禁止用語か?)のつぶやきも幻聴されます。


●「結界」の味覚には思わず口をすぼめました。「結界にて」としたほうが情景がよりハッキリするように思いますが。

●「蟷螂」。子供の頃味わった指の触角、いや触覚がよみがえり、しゃにむに声に出したくなる「しゃかむに」の語感の愉快さ。…やや技巧的過ぎるかなあ、との印象あり。

●「あくびして」には、森進一の名曲を想起し、遠ざかる「汽笛」が聞こえるような聴覚体験でした。「あくびして背伸びし」た途端に自失する体験は、どなたにも心当たりがあるのではないでしょうか。その一瞬に、「彼岸」は確かに見えるのですな。

では、皆様によろしくどうぞ。 2010/11/05 09:14am 中山銀士@熊本

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                ―席題@飯田橋 三州屋は、今回モ(のみすぎて)お休み―
 

追伸:
次回は1月15日(土)午後5時から、場所は今回とおなじ小石川後楽園涵徳亭(かんとくてい)
◎会費:3,000¥/人(会場使用料+軽い飲食費)、飲み会は別途精算。
投句は五句。題詠一句以上、有季または無季雑詠あわせて五句を投句いただけますでしょうか。    兼題はおと。席題は飲み会の成り行きで、飲み会は午後8時半ごろから場所は未定(成り行き次第)
投句締切りは1月13日(木)昼ごろまでに宮坂宛てにメールで送信いただけますでしょうか。