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前回句会の成果と次回句会のお知らせ

2011年8月8日月曜日

第八回句会成果と次回お知らせ


 「鬼灯」と書いて「ほおずき」と読むことを耕人さんの投句から(下の十八番)知りました。
七月九日と十日は「四万六千日(しまんろくせんにち)」とよばれ、この日に浅草の浅草寺を参拝すると46,000日分のご利益があるとのことで、知りたい見たいの一心でひとり出かけて撮ったのがこの写真。「鬼灯」という字は、ほおずきを先祖の霊を迎える提灯に見立てたところが由来と聞けば、その形、色ともに梅雨明け近い東京の夏をいろどる風物のひとつであることを納得すると同時に、東日本大震災で亡くなった多くの人やその家族の方々の想いが帰りの地下鉄のなかで頭をよぎりました。


                       

 さて、今回から新たに、「句浪人」こと竹居陽一さんが加わり句会開始以来最多の四十六句がでそろいました。以下、兼題の「橋(はし)」をふくむ題詠および有季あるいは無季雑詠四十六句と、選句結果をお知らせします。はじめに、高得点句八句をあげます。投句者九名、選句者九名。選句者の持ち点は一人八点( 評価基準は「天(☆)一句=三点」、「地(◎)一句=二点」、「人(〇)三句=各一点」、総得点合計=八点×九名=七十二点。選句集計内訳は下の表を参照ください。

 

   橋失せど擬宝珠の円み手の覚え     肝啓   ―十一点―

   避暑に来てトリケラトプス組み立てり   句浪人  ―五点―

   絶縁の文字を燃やして冷やしアメ    粒人  ―五点―

   玄関に彼岸への橋が架かっている    耕人  ―五点―

   海ゆかば入れ歯はあまた泥を噛み    等  ―四点―

   右左上下涼しおお吊り橋        句浪人  ―四点―

   無常なり地獄の里に桜咲く      康廣 ―四点―

   らばとて贈るあてなしラベンダー   粒人 ―四点―



                   ◆得点合計が高かった作者は次のとおり。
                    ほかの作者の得点と選句集計内訳は下の
                    【集計表】をクリックすると拡大します。
                  


 







  肝啓・・・・・・・・・・・・十六点

  句浪人・・・・・・・・・・・十二点

  粒人・・・・・・・・・・・・十二点

 


【集計表】(一度クリックして画像が現われたら、もう一度クリックすると拡大します。)
句会の醍醐味は、「詠んで、読まれる」ところにあるようです。〈どの句を誰が詠んだか?〉もさることながら、〈どの句を誰が読み、誰と誰が共感したか?〉を確かめてみてはいかがでしょう!〈共感の"こだま"がひびき合う〉のも句会の楽しさのひとつではないでしょうか。






    次に当日の投句四十六句を配布された清記表に書かれた順で上の八句を含めて列記します。@涵徳亭


 

一 相槌に心通わす橋の上   康廣

ニ 一休さんはしを渡って牛若丸   一敏

三 宇治金に白玉四つ半夏生  ちゃぶ台

四 海ゆかば入れ歯はあまた泥を噛み   等

五 失せた橋たもとにしゃがみ麦茶かな   肝啓

六 江戸図絵に夏の賑わい日本橋   ちゃぶ台

七 大津波この世に地獄黒い波   康廣

八 オフィーリア浮かぶみずも水面アリス的    一敏
 

 九 大きな土葬小さな火葬牡丹咲く   等

 十 面影は橋の名にあらず昏倒寸前   粒人

十一 ガリレオは終身刑と夏至の天   耕人

十二 海底に座布団五枚のおとこ棲む   等

十三 キレイネエ自然な声に振り向くと   康廣 

十四 川風をもとめて橋に夕涼み   夏風

十五 此の向こう渡るべからず橋一本  耕人

十六 七月のビールを泳ぐ二枚舌   肝啓
 

十七 絶縁の文字を燃やして冷やしアメ   粒人

十八 四万六千日の鬼灯生やす原発の土   耕人

十九 笹ゆらし通りゆく風音も涼し   夏風

二十 右左上下涼しおお吊り橋   句浪人

二一 節電で団扇の波立つ大教室   ちゃぶ台

二二 玄関に彼岸への橋が架かっている   耕人

二三 還暦や次の水着は赤でどおじゃ   句浪人

二四 桐箱の線香花火や姫気分   ちゃぶ台
 

二五 涼やかな少女の目にも茜雲   康廣

ニ六 梅雨の間の陽に問うや干し梅の味   夏風

ニ七 涙には人の情けがあふれてる  康廣

二八 橋失せど擬宝珠の円み手の覚え  肝啓

二九 果てしなく手紙を綴る蛍も飛ぶ  粒人

三十 梅雨寒や電柱呑んだ魚の顎   等

三一 馬場の宵今なきレダに献ぐ酒   夏風

三ニ 橋桁に水死の匂い百合の匂い   等
 

三三 ホタルのホ夜風に乗れば無事着水   肝啓

三四 橋懸り六条の念わたり来る   ちゃぶ台

三五 日傘閉じよ ことばを隠しとおす人   粒人

三六 橋懸ゆれるそよかぜ水中花   一敏

三七 蛍火や天文学者の人差し指   句浪人

三八 南風吹いて方舟を目撃する三陸沖   耕人

三九 無常なり地獄の里に桜咲く  康廣

四十 モネの庭うかぶ睡蓮太鼓橋  一敏
 

四一 夕やみに花火見上げて橋わたる  夏風

四二 避暑に来てトリケラトプス組み立てり   句浪人

四三 古池や翡翠勾玉そこかしこ   一敏

四四 六月やビールがくすぐる喉仏   肝啓 

四五 龍馬的生き方ありて夏燕   句浪人

四六 らばとて贈るあてなしラベンダー   粒人


               ―席題@飯田橋 某居酒屋は、今回モ(のみすぎて)お休み―
 
追伸:
次回は9月3日(土)午後5時から、場所は今回とおなじ小石川後楽園涵徳亭(かんとくてい)
◎会費:3,000¥/人(会場使用料+軽い飲食費)、飲み会は別途精算。
投句は五句。題詠一句以上、有季または無季雑詠あわせて五句を投句いただけますでしょうか。     兼題は文字もじ。席題は飲み会の成り行きで、飲み会は午後8時半ごろから場所は未定(成り行き次第)
投句締切りは9月1日(木)昼ごろまでに宮坂宛てにメールで送信いただけますでしょうか。
 ところで、句会の回を重ねてくると、過去の兼題も忘れがち。後々の兼題が過去のものと重ならないようにここらで振り返っておきましょう。


 

第二回  サングラス    出題 等 

第三回  さんま    出題 等

第四回  蓋   出題 等

第五回  音   出題 等

第六回  鋸   出題 等

第七回  器   出題 等

第八回  橋   出題 等

第九回  文字   出題 肝啓